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はじめに ~20世紀音楽と「バレエ・リュス」~

今回のプログラムは、オペラやバレエといった「舞台音楽」をセレクトしました。中でも、19世紀後半から20世紀初めにかけての作品である三角帽子、パヴァーヌ、火の鳥には、もう一つ共通するテーマがあります。それは、20世紀はじめに一大センセーションを巻き起こした「バレエ・リュス(ロシア・バレエ団)」のバレエに用いられた音楽であるということです。

バレエ・リュスは、ロシア人のセルゲイ・ディアギレフ(1872-1929)によって1909年にパリのシャトレ座で旗揚げされました。ディアギレフは「天才を見つける天才」と称される敏腕プロデューサーで、才能ある芸術家を確かな目で見抜き、次々とバレエの制作に巻き込んでいきました。多くの芸術家とのコラボレーションによって、バレエを舞踏・音楽・美術による「総合芸術」にまで発展させ、モダン・バレエの礎を築きました。

ディアギレフの功績の1つに、まだ無名だった若きストラヴィンスキーの才能をいち早く見出したことが挙げられます。ディアギレフとバレエ・リュスなくして彼の三大バレエ(火の鳥、ペトルーシュカ、春の祭典)は誕生しませんでしたし、中でも「春の祭典」は初演時に暴動が起き怪我人が発生するほどの大スキャンダルとなったことで有名です。この作品は以降の音楽を大きく変えるものとなり、ストラヴィンスキーの例だけ見てもバレエ・リュスの存在が20世紀の音楽に与えた影響は大きかったことがわかります。

1929年、ディアギレフの突然の死によってその活動に幕を下ろすこととなってしまうバレエ・リュスですが、20年間で実に65作もの作品を世に送り出しました。本日はその中から3作品の音楽をお送りします。色彩豊かなプログラムを、どうぞお楽しみ下さい。

(Y.H)

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