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過去の演奏会

イーゴリ・フョードロヴィチ・ストラヴィンスキー/バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)

Игорь Фёдорович Стравинский (1882-1971)
Igor Fyodorovich Stravinsky
L'oiseau de feu (Version 1919)
1. 序奏 / Introduction
2. 火の鳥とその踊り / L'oiseau de feu et sa danse
3. 火の鳥のヴァリアシオン / Variation de l'oiseau de feu
4. 王女たちのロンド(ホロヴォード) / Ronde des Princesses (Khorovode)
5. 魔王コシチェイの凶悪な踊り / Danse infernale du roi Kastcheï
6. 子守唄 / Berceuse
7. 終曲 / Final

バレエ「火の鳥」は、バレエ・リュス初めてのオリジナル作品として制作されました。それまではロシアで上演されていた作品の焼き直しで公演を行っていましたが、全ての要素を一から作り上げたいというディアギレフの思いが、この作品を生み出しました。

新作バレエの制作にあたって、ディアギレフは芸術家たちを招集して会議を重ね、バレエのストーリーはロシアの民話から取ることにしました。あらすじについては後述しますが、実はこのバレエのように火の鳥と魔王コシチェイが両方登場する民話は存在せず、「イワン王子と火の鳥と灰色オオカミ」と「不死身のコシチェイ」という2つの民話(「魔法昔話」というジャンルに分類されるもの)を中心に、複数の民話の要素を盛り込んで作られました。

バレエの初演は1910年。物語は「白鳥の湖」に似た内容ながら、火の鳥役のみがトウシューズでクラシック・バレエを踊り、他の役は自然に踊るという構図が火の鳥の魅惑的な存在をより際立たせることとなり、前衛的な演出にも関わらず公演は大成功を収めました。これを皮切りに、バレエ・リュスは魅力的なオリジナル作品を数多く生み出していくことになるのでした。

火の鳥の楽譜は、バレエの全曲版(1910年版)と、3つの組曲版(1911年版、1919年版、1945年版)が存在します。全曲版は4管編成の管楽器と膨大な打楽器群、3台のハープという巨大なオーケストラを必要とするものですが、本日演奏する1919年版は2管編成へと改訂されたものです。

̶あらすじ̶

舞台は、魔王コシチェイの宮殿の庭《序奏》。夜の暗闇の中、イワン王子はこの庭に迷い込んでしまう。そこへ火の鳥が現れ、庭の黄金のりんごをついばむ《火の鳥とその踊り》《火の鳥のヴァリアシオン》。イワンが火の鳥を捕らえると、火の鳥は羽を1枚あげるから放してほしいと懇願したため、イワンは火の鳥を放す。やがて、コシチェイによって魔法をかけられている13人の王女が現れ、月明かりのもと金のリンゴで遊ぶ。イワンはそっと忍び寄り、円舞に加わる《王女たちのロンド》。夜が明けると、王女たちは慌ててコシチェイの宮殿に帰っていく。イワンは後を追って宮殿に入る。コシチェイとその手下の魔物たちが現れ、コシチェイはイワンに魔法をかけ石に変えようとするが、火の鳥の羽によって守られる。イワンは火の鳥に助けを求め、火の鳥は魔法で魔物たちを激しく躍らせる《魔王コシチェイの凶悪な踊り》。魔物たちは疲れ果てて寝てしまい、火の鳥は魔物たちに子守唄を歌う(ファゴット・ソロ)《子守唄》。イワンは火の鳥に導かれて、コシチェイの魂が入っている卵を見つける。これを地面に叩きつけて砕くと、コシチェイも魔物たちも消え失せる。彼の魔法にかかっていた人々が元に戻り(ホルン・ソロ)、イワンは13人のうち一番美しい王女と婚礼を挙げる《終曲》

(Y.H)

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