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アルテュール.オネゲル/夏の牧歌

Arthur Honegger (1892-1955)
Pastorale d’été

オネゲルは、20世紀前半のフランスで活躍した作曲集団「6人組」(オネゲル、オーリック、タイユフェル、デュレ、プーランク、ミヨー)の一人です。この「6人組」の音楽は、ヴァーグナーに代表されるロマン主義とドビュッシーら印象派の音楽に反し、古典に立ち返り明瞭でシンプルな表現を目指すものでした。しかし、オネゲルはベートーヴェンやヴァーグナーを敬愛しており、6人の中では異端の存在でした。

フランスの作曲家というイメージの強いオネゲルですが、実はフランス生まれのスイス人です。交響詩「夏の牧歌」は1920年、オネゲルが28歳のときに、両親の故郷に近いスイスのヴェンゲンで作曲されました。ヴェンゲンは、アルプスの岩峰と氷河をのぞむ風光明媚な景勝地です。ここでの滞在中、フランスの詩人であるランボーの詩集「イリュミナシオン」の中の、『わたしは夏の曙をいだいた』というフレーズにインスピレーションを受けてこの曲を作曲したと言われています。翌1921年にパリで初演され好評を博し、オネゲルは作曲家としての名声を確立しました。

曲は3部形式です。第1部では、まずホルンによって印象的な美しい旋律がうたわれます。この旋律は、ミクソリディアという教会旋法によるものです。伸びやかなホルンの音色と相まって、まどろみの夢の中を思わせます。フルートとクラリネットによる短い音型は鳥の声でしょうか。その後転調して第2部となり、木管楽器による素朴な舞曲風の旋律が登場します。第3部では、第1部と第2部の旋律が交互にうたわれますが、音型は引き伸ばされていき、徐々に静まって曲は閉じられます。

(Y.H)

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