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G.プッチーニ/オペラ「ジャンニ・スキッキ」

Giacomo Puccini (1858-1924)
GIANNI SCHICCHI

あらすじ

作品ノート

プッチーニの三部作と呼ばれているオペラの第三作目がこの作品。三部作の他のオペラ(『外套』『修道女アンジェリカ』)に比べ、最も上演回数の多い作品であり、中でもラウレッタが歌う「私の優しいお父様(O mio babbino caro)」は、コマーシャルにもよく使われるほど人気のある曲である。

プッチーニは17歳の時、ヴェルディの『アイーダ』を観てオペラ作曲家を志すようになり、65歳でこの世を去るまでに『トスカ』『蝶々夫人』など、数多くのオペラをこの世に生み出した。彼のオペラ作品のストーリーはどれも悲劇だが、唯一この『ジャンニ・スキッキ』だけは喜劇(オペラブッファ)である。また、この作品の次に筆を執った『トゥーランドット』は、未完のままこの世を去ったので、『ジャンニ・スキッキ』は事実上、彼の最後の作品と言える。

劇中、スキッキが「さらばフィレンツェ(Addio, Firenze)」というフレーズを歌って、親族たちに遺言状の偽造は大罪になることを警告する場面が出てくる。これは、ダンテの「神曲~地獄編」に、遺言状を書き換えた男が地獄に落ちるシーンが短く描かれており、プッチーニと台本家ファルツァーノがこのダンテの作品からヒントを得たものである。

彼の作品中唯一の喜劇である『ジャンニ・スキッキ』は、単なるドタバタ劇ではなく、人間の内面を見事に映し出している。人間の中に潜む物欲や金銭欲。それをジャンニ・スキッキという一人の賢人が一蹴する。ちなみに、Gianni(ジャンニ)はGiovanni(ジョヴァンニ)の愛称で、これは「ヨハネ」のイタリア語表記。ヨハネは、新約聖書に出てくる預言者の名でもある。

欲丸出しの親族達も、そんな彼らを丸め込むスキッキも、二人の若き恋人も、親近感ある魅力的な人間に表現されているところは、オペラの天才プッチーニの成せる業である。

(アミーチ デル ベルカント団員 Y.U)

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