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過去の演奏会

W.A.モーツァルト/交響曲第41番 ハ長調 K551「ジュピター」

Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
Symphony No.41 in C major K.551 “Jupiter”
Ⅰ Allegro Vivace
Ⅱ Andante Cantabile
Ⅲ Menuetto (Allegretto)
Ⅳ Molto Allegro

「ジュピター」の副題で知られるハ長調交響曲K.551は、1788年に作曲されました。モーツァルトの死まであと3年を残しながらも、この交響曲が彼にとって最後の交響曲となりました。第39番、第40番とともに3大交響曲と呼ばれ、モーツァルト晩年の円熟した傑作として親しまれています。この充実した3大交響曲はわずか2ヶ月ほどの間に書かれており、まさに天才のなせる技であると驚くばかりです。

この「ジュピター」という副題ですが、モーツァルト自身が付けたものではありません。この副題が最初に登場したのは1819年イギリスでのコンサートであるとみられており、ハイドンのスポンサーでヴァイオリン奏者のヨハン・ペーター・ザーロモンが名付けたと言われています。ローマ神話の最高神「ユーピテル」(ジュピターは英語読み)に由来するもので、この交響曲がもつ神々しいまでの輝きや堂々とした王者の風格を表すのにふさわしい愛称となっています。

第4楽章に登場する<ド-レ-ファ-ミ>という音型はモーツァルトが好んで使ったモティーフですが、この交響曲で特に印象的であることから「ジュピター音型」と呼ばれています。このジュピター音型が初めて登場するのは、なんと8歳で作曲された交響曲第1番。この音型はモーツァルトの全作品中で十数曲に登場するそうですが、最初の交響曲に用いたモティーフが最後の交響曲にも用いられていることは、何か運命的なものを感じざるを得ません。

第1楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ
序奏はなく、いきなりフォルテでハ長調の主和音が3度打ち鳴らされ、それにこだまするように優雅な旋律が現れます。この揺るぎない堂々とした主題こそ、ジュピターという名の由来なのかもしれません。

第2楽章 アンダンテ・カンタービレ
弱音器付きのヴァイオリンによって美しい旋律がうたわれます。透明感のある優美な旋律の中に絶えず寂しげな表情が見え隠れするのは、モーツァルト晩年の作品に共通するものです。

第3楽章 メヌエット(アレグレット)
メヌエットの主題はなだらかな下降音型ですが、不思議と高揚感があります。トリオでは第4楽章のジュピター主題がこっそり先取りされていますので、耳を澄ませて聴いてみて下さい。

第4楽章 モルト・アレグロ
ソナタ形式にフーガの技法を結びつけた第4楽章は、古典派の交響曲技法において頂点をなすものといえます。ゆえに、この交響曲に「ジュピター」の愛称がつく前は、「フーガのフィナーレをもつ交響曲」と呼ばれていました。
ソナタ形式の第1主題、第2主題にはすぐに別の動機が結びつき、対位法的な展開をみせます。圧巻はコーダ部分で、主題の逆行形を導入して二重フーガを展開し、ジュピター音型とこれまでに登場した様々な動機が結びつく中で壮麗に曲が閉じられます。

なお本日のジュピターの演奏は、ヴァイオリンIとヴァイオリンIIが向かい合う「対向配置」にて演奏致します。

(Y.H)

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