2つの無言歌は、サマセット狂詩曲に続いて1907年に作曲されました。サマセット狂詩曲が民謡の旋律に基づいて作られたのに対し、2つの無言歌はホルスト独自の音楽によるものです。こちらも民謡風で印象深い旋律が並びますが、これはホルストが民謡を吸収して自身の音楽として確立できた証であると言えるでしょう。この作品は一緒に民謡採集に出かけた親友ヴォーン・ウィリアムズに献呈されています。
第1曲「田舎の歌」は、イギリスの田舎の風景を思わせるのどかな曲です。冒頭でクラリネットによって歌われる民謡風の旋律と、オーボエによる軽快な旋律から構成されています。
第2曲「行進の歌」は、その名のとおり勇壮な行進曲です。ヴィオラとクラリネットによるマーチ主題の後、ヴァイオリン、チェロ、ホルンのユニゾンによる伸びやかな旋律が現れます。最初のマーチ主題が変形し繰り返されながら盛り上がりを見せ、堂々としたフィナーレを迎えます。
(Y.H)