オーケストラ・ソノーレ長野 公式ホームページ

過去の演奏会

ドニゼッティ/歌劇「愛の妙薬」

Gaetano Donizetti (1797-1848)
L'Elisir d'amore

あらすじ

『愛の妙薬』誕生秘話

ドニゼッティ, Gaetano Donizetti(1797~1848)は、ロッシーニやベッリーニと並ぶ、19世紀のイタリアを代表するベルカントオペラの作曲家です。21歳で最初のオペラを発表し、以後50歳で亡くなるまでの間、人間の声の美しさを十分に堪能できる作品を数多く残しています。彼の作曲したオペラは70曲に及び、『愛の妙薬』をはじめ、『ランメルモールのルチア』『連隊の娘』『ファヴォリータ』などは今なお世界中で親しまれ、上演され続けています。

『愛の妙薬』の初演は1832年。ミラノのカノッビアーナ劇場の依頼により作曲した曲です。実は当初、この作品の作曲は、全く別の作曲家に依頼されていました。しかし、その作曲家が作品の納期1ヶ月前に突然仕事を放棄。困った劇場主は、当時速筆家として知られていたドニゼッティに作曲を依頼したところ、彼はわずか2週間でこの作品を完成させてしまったと言われています。初演後の新聞紙上には、「音楽は最初から最後まで美しい」「ドニゼッティ万歳」と彼を絶賛する声が並びました。その後瞬く間にイタリア中で上演されるようになり、ドニゼッティの名声は広く知れ渡ることとなりました。

『愛の妙薬』の魅力

オペラによっては登場人物の人間関係や話の筋が複雑で、予習が必要なオペラも少なくありませんが、『愛の妙薬』のストーリーは単純で明るく、誰にでも楽しめる作品です。

気位が高いが本当は優しいアディーナ。間抜けで単純だけれど純粋で熱い心の持ち主であるネモリーノ。うさん臭いが陽気で人間味のあるドゥルカマーラ。自信家で野心満々だが去る者は追わない、あっさりとした気性も兼ね備えるベルコーレ…。それらの登場人物が繰り広げる物語にふさわしい、楽しく明るいメロディー。その中に名曲「人知れぬ涙」をはじめとする叙情豊かな独唱や二重唱が随所に散りばめられています。登場人物が持つ二面性と音楽が持つ二面性の両方を楽しむことのできるオペラです。

愛の“妙薬”とは?

このオペラに出てくる“妙薬”は、アディーナが村人達に読んで聞かせた『トリスタンとイゾルテ』の物語に由来するものです。この話はヨーロッパに古くから伝わる昔話ですが、もともとの話は、“媚薬”とは知らずに飲んでしまったトリスタンとイゾルテが激しい愛に落ちるという話です。そこから派生し、オペラ『愛の妙薬』では、自分が飲むと、恋する相手がひとりでに惚れてくる“妙薬”として扱われています。(ネモリーノが飲んだのは“妙薬”などではなく、ただの安いボルドー産のワインですが…)

(アミーチ デル ベルカント団員 Y.U)

Copyright (C) 2013 - Orchestra Sonore Nagano.
All Rights Reserved.

inserted by FC2 system