オーケストラ・ソノーレ長野 公式ホームページ

過去の演奏会

ルトスワフスキ/小組曲

Witold Lutosławski (1913-1994)
Mała Suita [Little Suite]
第1曲「笛」  Fujarka [Fife]
第2曲「万歳ポルカ」 Hurra Polka
第3曲「歌」 Piosenka [Song]
第4曲「踊り」 Taniec [Dance]

来年生誕100周年を迎えるルトスワフスキは、ポーランドを代表する20世紀の作曲家です。新古典主義的な作風から出発し、民俗的な素材に基づく語法を経て、独特の半音階主義や「管理された偶然性」という概念に基づく新たな手法を取り入れ、20世紀後半の音楽界で独自の地位を占めました。

この作品は、1950年にワルシャワ放送から依頼され室内オーケストラのために書かれましたが、翌年に通常編成のオーケストラ用に書き直され、現在ではもっぱら後者が演奏されています。4つの短い曲からなる組曲で、主題はいずれもポーランド南東部のマチョフ村(クラクフの東、ジェシュフ近郊)の民俗音楽に基づきますが、それらはルトスワフスキ自身がポーランド民俗音楽祭で聴いたものです。

1940年代末から1950年代前半のスターリニズムの時代においては、いわゆる「社会主義リアリズム」というスローガンの下、芸術家は「民族的」であることを強制されていました。この苦しい時代にルトスワフスキは劇場、ラジオ放送、映画や学校用の作品など、彼自身が「機能的音楽」と呼んだ実用音楽を書いて家族を養っていました。本日演奏する「小組曲」もそうした仕事の一環です。しかし、簡潔な様式に込められた生命力と効果的なオーケストレーションは、ルトスワフスキの見事な職人芸を示しています。

第1曲のタイトル「フヤルカ」とは、「フヤラfujara」と同義で、強烈な倍音を出す大きな縦笛です。フヤラはスロヴァキアの羊飼いの民俗楽器として有名ですが、ポーランドにも同じような楽器があるようです。冒頭のピッコロ・ソロの背後に聞こえる弦楽器による不思議な響きは、フヤルカの倍音を表現しています。

第2曲「万歳ポルカ」は、拍子の交替がめまぐるしい陽気なポルカ。

第3曲「歌」は、素朴なメロディーに抑圧するような半音階的伴奏のつく不思議な雰囲気を持った音楽。

第4曲「踊り」は、農村での群舞を思わせる快活な主部と、少し重心の低くなる中間部との対比が印象的です。

(T.M)

Copyright (C) 2013 - Orchestra Sonore Nagano.
All Rights Reserved.

inserted by FC2 system