この作品は、小山清重が故郷である旧更級郡信里村(現在の長野市篠ノ井村山)に伝わる年中行事「もぐら追い」をモティーフに作曲したものです。
曲についての説明は、作曲者自身による曲目解説を引用するのが最も適切でしょう。
<CD「小山清茂/吹奏楽のための大神楽」(財団法人日本伝統文化振興財団)曲目解説より引用> |
桶のふちを天秤でこする「キュー、キュー」という音は、弦楽器で弦の駒よりもテールピース側(普段弾くのとは反対側)を弾くのに加え、「固いセルロイドの筆箱のふたでガラス板をこする」という、あまり想像したくない響きで表現されます。「もぐら追い」という行事自体は日本各地に伝わっていますが、桶のふちを天秤棒でこするということは、他の地方では一般的ではないようで、作曲者の郷里周辺に特有の音風景であったのかもしれません。
なお、この曲には、次のとおり様々な版があります。
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本日演奏する管弦楽版は、1984年7月13日に開催された「反核・日本の音楽家たち”オーケストラル・メッセージ'84”」のために書かれ、岩城宏之指揮新星日本交響楽団により初演されました。
管弦楽版が演奏されるのは、恐らく初演以来のことと思われます。本日使用するパート譜は、本年10月2日に予定されている信州新町イヤー「愛郷コンサート」で演奏するために、作曲者の自筆スコアから新たに作成したものです。「管弦楽のための信濃囃子」と同様、地元長野で生まれたこの作品を、今後も当団のレパートリーとして演奏し続けたいと考えています。
(T.M)
パート譜作成協力:楽譜作成工房「ひなあられ」