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過去の演奏会

W.A.モーツァルト/「劇場支配人」序曲

Wolfgang Amadeus Mozart (1756-91)
Der Schauspieldirektor, K486 Overture

「劇場支配人」K486は、1786年冬、モーツァルトが30歳のときに書いたドイツ語による1幕の音楽つき喜劇です。この作品は、当時の神聖ローマ皇帝ヨーゼフ2世から依頼され、オランダ総督アルバート公来訪を祝してシェーンブルン宮殿のオランジュリーで行われる祝宴のために作曲されました。モーツァルトは当時、大作「フィガロの結婚」を作曲中でしたが、それをいったん中断し、短期間でこの作品を仕上げています。

この祝祭では、同時にサリエリのイタリア語歌劇「まずは音楽、おつぎが言葉」も上演され、モーツァルトによるドイツ語、サリエリによるイタリア語の音楽劇を対抗させようという趣向がとられました。

台本は「後宮からの誘拐」と同じ台本作者のシュテファニーが書き下ろしたもので、全体は1幕10場からなります。あらすじは、「劇団の組織を計画している劇場支配人のもとに、自薦、他薦の俳優や歌手がやってくる。ソプラノ歌手の2人がプリマ・ドンナをめぐって言い争いになり、そこに男性歌手も巻き込まれる。しかし最後には、芸術のためにはまずは調和が大切で、結果は聴衆の拍手に任せようと意見が一致し、大団円を迎える。」というものです。このうち音楽がつけられたのはごく一部で、序曲、第7場と第8場のアリア、第9場の三重唱、そして最後の第10場の四重唱のみですが、いずれも当時のモーツァルトの技法が十分に盛り込まれた名曲となっています。

本日演奏する序曲は、厳格なソナタ形式で書かれ、このような軽い劇の序曲としては異例なほど充実した内容を持っています。第1主題は強弱の対比が効果的であり、第2主題は軽妙なもの。展開部では主に第1主題がめまぐるしく展開されます。

(T.M)

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