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ショスタコーヴィチ/祝典序曲 作品96

Dmitry Dmitrievich Shostakovich
Дмитрий Дмитриевич Шостакович
(1906-1975)
Festive Overture, Op.96
Праздничная увертюра, Op.96

ショスタコーヴィチは20世紀を代表する旧ソ連の作曲家です。19歳のときにペテルブルク音楽院の卒業作品として作曲した第1交響曲で国際的な注目を浴びて以降、15曲に上る交響曲をはじめ、あらゆるジャンルにおいて多くの優れた作品を残しています。

ショスタコーヴィチの作品は、当時ソ連で提唱された「社会主義リアリズム」に基づき、技法的にはわかりやすい平明なものが多く、生前には御用作曲家という評価が下されることもありました。ただ、その音楽の内容については、政権に迎合するような作品の裏にも痛烈な皮肉が込められていることもあり、極めて複雑な面を持っています。いずれにしても、彼が人の心の奥底に届く傑作を残しているのは事実ですし、求められた(強制された)スタイルでも自分を失うことなく作曲できたということは、彼の優れた職人芸を示しているとも言えます。

本日演奏する「祝典序曲」は、もともとは1947年に十月革命30周年を記念して作曲されましたが、発表はされず、その7年後の1954年、ロシア革命37周年記念演奏会のために、共産党中央委員会(またはボリショイ劇場)からの委嘱作品として改作されました。また、1952年のヴォルガ・ドン運河開通に捧げられたとされています。初演は1954年11月6日に、モスクワのボリショイ劇場で、アレクサンドル・メリク=パシャーエフ指揮の同劇場管弦楽団により行われました。1980年にモスクワ・オリンピックにおいて使用されたほか、吹奏楽用にも編曲されており、日本でも広い人気を誇っています。

曲は祝典にふさわしい堂々としたファンファーレで始まり、軽快な第1主題、伸びやかな第2主題が続きます。後半のファンファーレの再現では、演奏効果を高めるため金管楽器のバンダ(別動隊)の追加が指定されています。作曲技法にも工夫が凝らされ、ショスタコーヴィチの職人芸を堪能できる逸品となっています。

(T.M)

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