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過去の演奏会

アイアランド(ブッシュ編曲)/2つの交響的習作

John Nicholson Ireland (1879-1962)
Arr. Geoffrey Bush
Two Symphonic Studies

アイアランドは20世紀イギリスの作曲家です。ドイツ・ロマン派の影響を強く受けながら、ラヴェルやストラヴィンスキーの技法も学び、旋法的音階と和声を特徴とする独自の作風を作り上げました。

本日演奏する「2つの交響的習作」は、もともとはオーストラリア映画「オーヴァーランダーズ」(1946年)のために書かれた音楽です。「オーヴァーランダーズ」は、第二次世界大戦中のオーストラリアを舞台にした映画で、日本軍による攻撃を避けるため、牛を連れて大陸を移動した人々の物語が、広大な風景とともに描かれています。本日演奏する2曲は、アイアランドの死後、弟子のジョフリ・ブッシュが演奏会用に編曲したものです。この映画のための音楽は、指揮者のチャールズ・マッケラスが管弦楽組曲として編曲したものがありましたが、この2曲はその規模の大きさと深刻さのために、組曲には含まれていませんでした。

第1曲「フーガ」と第2曲「トッカータ」は、ともに映画終盤のクライマックスと言える部分で使われているもので、「フーガ」は牛を連れた主人公たちが、移動ルート中の最大の難所である険しい岩山を超える場面、「トッカータ」は大草原を牛の大群が暴走する場面の音楽です。いずれの曲も緊迫感や迫力といった点で映像を効果的に盛り上げていますが、純粋に演奏会用の作品としても十分に聴き応えのある音楽となっています。

なお、この「2つの交響的習作」は、出版社に初期の記録が残っていないため確定はできませんが、本日が日本初演であると推定されます。

(T.M)

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