この作品は、1894年頃に「管弦楽のための即興曲」として作曲、同年に初演されましたが、翌年改訂されてタイトルも「春の歌」と改められ、1903年に再改訂を経て出版されました。出版されたスコアでは、タイトルはスウェーデン語で書かれ、その下にフランス語で「春の悲しみ」と記載されています。
曲は三部形式で、初期のシベリウスらしい、息の長い旋律が印象的です。主部はいかにも春を思わせる暖かさをたたえていますが、中間部では感傷的な雰囲気に変わります。中間部の盛り上がりの後、高揚した気分のまま主部が回帰し、コーダでは、春を知らせる復活祭の鐘が鳴り響きます。
(T.M)