オーケストラ・ソノーレ長野 公式ホームページ

過去の演奏会

シューベルト/交響曲第3番 ニ長調

Franz Peter Schubert (1797-1828)
Sinfonie in D, Nr.3 D200
Ⅰ Adagio maestoso – Allegro con brio
Ⅱ Allegretto
Ⅲ Menuetto: Vivace
Ⅳ Presto vivace

18世紀末期の「フランス革命」後、全ヨーロッパはナポレオン戦争の災禍に呑み込まれる動乱の時代に突入します。シューベルトはこんな時代のウィーンに生まれました。ナポレオン失脚後、ウィーン会議が開かれていた1815年に作曲された曲がこの交響曲第3番で18歳の時の作品です。

モーツァルトは例外として、早熟なショスタコヴィッチが交響曲第1番を書いた19歳で、シューベルトは既に彼の4番、5番を、ドヴォルジャークが第1番を作曲した24歳には第7番を書き、31歳で駆け足の人生を終えてしまいました。

シューベルトは生涯一千点に及ぶ優れた作品を生んでいますが、1815年には200点余の作品があり、ゲーテの詩による「魔王」「野バラ」を初めとする歌曲も140点以上作曲されるという、まさに湧くが如く音楽を生んでいた時です。

この交響曲3番は自然なエネルギーがほとばしっており、若々しい弾力はこの曲の魅力となっています。また古典派とロマン派の過渡期の作品という性格も見逃せないでしょう。

第1楽章の序奏に現れる主題は、主部でも役割を果たし、続く三つの楽章の主題とも、互いに近しい関係にあります。

第1楽章に流れるクラリネットの快活な主題は口笛を吹きつつスキップで散歩するような楽しさがあり、オーボエが受け持つ第二主題も楽しい気分にあふれています。

第2楽章は古典的な構成を持った、そこはかとない詩情漂う、優美な雰囲気がしっとり響きます。

第3楽章メヌエットはベートーヴェンの影響でスケルツォに近いアクセントがついていますが、シューベルトの個性は中間部トリオに著しく、オーボエとファゴットの伸びやかなデュエットが楽しめます。

第4楽章はウィーン風に洗練されてきており、ハイドンの≪狩り≫のフィナーレを思わせて軽やかに始まりますが、やがて力集めて切れのよいリズムで全体を閉じます。

(H.K)

Copyright (C) 2013 - Orchestra Sonore Nagano.
All Rights Reserved.

inserted by FC2 system