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過去の演奏会

W.A.モーツァルト/交響曲第32番 ト長調 K.318

Walfgang Amadeus Mozart (1756-91)
Sinfonie Nr.32 G-dur, K.318
Allegro spiritoso - Andante - Primo Tempo

この作品は、1779年、マンハイム・パリへの旅行からザルツブルクへ戻ったモーツァルトが最初に書いた交響曲です。3つの部分(楽章)が切れ目なく続いているイタリア風序曲の形式をとっていることや、楽器編成が他のザルツブルクで書かれた交響曲よりも充実していることから、従来何らかの舞台作品の序曲として書かれたと推測され、具体的な作品名がいくつか挙げられてきました。実際に特定の舞台作品のために書かれたかどうかは定かではありませんが、そもそも当時は交響曲と序曲が厳密に区別されていたわけではなく、実際にこの交響曲も、後にビアンキのオペラ・ブッファ『略奪された村娘』の序曲として使用されています。

この作品の楽器編成上の大きな特徴は、モーツァルトの交響曲としては初めて、部分的にではありますが、バス声部のファゴット、チェロ、コントラバスが独立して扱われていることです。管楽器の充実に加えて、この低音楽器の独立により、いっそう多彩な音色の変化が生まれています。なお、トランペットのパートは、後に作曲者自身が追加したものであり、また現在残されているティンパニ・パートはモーツァルト自身によるものではありません。本日の演奏では、指揮者の裁量によりティンパニ・パートに変更を加えています。

曲全体の構造は、ソナタ形式の展開部と再現部の間にアンダンテが挿入されるという形になっています。つまり、第1楽章が提示部と展開部に当たり、第2楽章のアンダンテを経て、第3楽章としての再現部に至ります。第1楽章では力強い第1主題といくぶんコミカルで可愛らしい第2主題の対比、マンハイム風の効果的なクレッシェンド、そして激情に任せたように次々と転調する展開部が印象的です。優美な第2楽章では管楽器の繊細な扱いが目立ち、それに聴き惚れていると何の前触れも無く突然第3楽章となり、驚かされます。あまり演奏される機会はありませんが、名曲です。

(T.M)

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