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過去の演奏会

W.A.モーツァルト/歌劇「皇帝ティートの慈悲」序曲

Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
《La Clemenza di Tito》, Overtüre, K.621

「皇帝ティート(ティトゥス)の慈悲」は、モーツァルトが亡くなる年、1791年に神聖ローマ皇帝レオポルト2世のボヘミア王としての戴冠式の祝典のために書かれた歌劇です。作曲は8月半ばからの半月あまりの間に書き上げたとする説と、4月には着手していたとする説があります。初演は同年9月6日にプラハの国民劇場で行われました。

台本の原作はボヘミアの宮廷詩人メタスタージョによるものですが(今回は紙面の都合によりあらすじは省略させていただきます)、モーツァルトの時代よりも50年以上前に書かれたものであったため、マッツォーラにより大幅な改編が行われました。モーツァルト自身はマッツォーラの改編を気に入っていたようですが、一般的にはこの台本のせいで劇的な展開がいまひとつとの評価がなされ、歌劇全体としてはあまり人気がありません。しかし歌劇中の個々の曲には、極めて素晴らしい音楽が多く含まれています。

本日演奏する序曲は、必要最小限といって良いほどシンプルな材料と形式で作られながらも、壮麗さを感じさせる傑作となっています。祝典オペラらしく堂々と行進曲風に始まりますが、緊張度の高い和音が頻繁に用いられ、劇中での葛藤が暗示されます。木管によるコンチェルタンテな第二主題も、短いながらもとても印象的です。

(T.M)

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