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過去の演奏会

W.ウォルトン/シェイクスピア組曲 ~ 映画「リチャード三世」より

Sir WilliamWalton (1902-1983) / arr. Mure Mathieson
A Shakespeare Suite from 'Richard Ⅲ'
第1曲 ファンファーレ Fanfare
第2曲 楽の音は流れる Music plays
第3曲 塔の中の王子たち The Princes in the Tower
第4曲 太鼓と旗と With drums and colours
第5曲 我汝の心を知らば I woud I knew thy heart
第6曲 ラッパは響く Trumpets sound

ウォルトンは現代イギリスを代表する作曲家の一人です。初期には前衛的な作品も書いていますが、基本的には叙情的でロマンティックな、一般の聴衆にも分かりやすい作風を持っています。

ウォルトンは映画音楽も数多く手がけており、このジャンルは彼の音楽において重要な位置を占めています。中でも、旧友でもある俳優ローレンス・オリヴィエが監督・主演を務めるシェイクスピア三部作、「ヘンリー五世」(1943-44)、「ハムレット」(1947)、「リチャード三世」(1955年)のための音楽は、いずれも格調の高さや重厚さと親しみやすさを合わせ持った優れたものです。

本日演奏する「シェイクスピア組曲」は、「リチャード三世」の音楽を、映画のサウンド・トラックを指揮したマシーソン(マシスン)が作曲者の同意を得て管弦楽用に編曲し、組曲として構成したものです。権謀術策の限りを尽くして王位を手にする悪の権化グロスタ公リチャードを、オリヴィエは実に生き生きと、思わず惹き込まれてしまうほど魅力的に描いていますが、ウォルトンの音楽も、当時の音楽を思わせる雰囲気を漂わせ、格調の高さの中に豊かなニュアンスを含んだ素晴らしいものです。

ご存知の方も多いとは思いますが、ここで「リチャード三世」のごく簡単なあらすじをご紹介しましょう。

15世紀イギリス、ヨーク家とランカスター家が王位を争っていたが(ばら戦争)、ランカスター家のヘンリー六世を暗殺し、 ヨーク家のエドワード四世が王位に着く。

その王位を狙う彼の末弟グロスタ公リチャード。彼はまず反乱の噂を流して王に次兄クラレンス公ジョージを捕らえさせ、同時に王位への足場を固めるため、自らがその夫を殺したランカスター家の前王ヘンリー六世の皇太子妃アンに言葉巧みに言い寄り妻とする。その後リチャードはクラレンス公を暗殺し、病の床にあった王は、自身が招いたクラレンスの死を嘆き、死んでしまう。ただちに皇太子エドワードが呼び寄せられエドワード五世として即位するが、リチャードは幼い新王を弟のヨーク公リチャードとともにロンドン塔に幽閉、殺害。政敵も次々と粛清し、巧みな術策を用いて、ついにリチャード三世として王位に着く。

しかし栄光ははかなく、フランスの援助を受けて攻め込んだランカスター家のリッチモンド伯ヘンリーとの決戦に破れ、戦死。リッチモンド伯はヘンリー七世として即位してテューダー朝が成立、30年に及んだばら戦争は終結を迎える…

第1曲「ファンファーレ」はエドワード四世の戴冠式の場面に用いられているもの。第2曲「楽の音は流れる」は、エドワード四世の戴冠パレードとリチャード三世の戴冠式の場面で使われますが、最初はオルガンで演奏されています。第3曲「塔の中の王子たち」は、3つの部分からなり、最初はエドワード四世の死後皇太子を迎えに行く場面、中間部は二人の王子が殺害される場面、そして最後はクラレンス公がロンドン塔で悪夢を見る場面で使われています。第4曲「太鼓と旗と」は皇太子エドワードがロンドンに到着する場面の一連の音楽をまとめたもの。第5曲「我汝の心を知らば」はエドワード四世がクラレンス公の死を嘆いて死ぬ場面でオルガンにより演奏されています。第6曲「トランペットは響く」もエドワード四世の戴冠パレードの部分で用いられており、この曲もオルガンで演奏されている部分があります。

(T.M)

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