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過去の演奏会

W.A.モーツァルト/ピアノ協奏曲第21番 ハ長調 K.467

Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
Konzert für Klavier und Orchester Nr.21 in C-dur, K.467
Ⅰ Allegro maestoso
Ⅱ Andante
Ⅲ Allegro vivace assai

1781年春、モーツァルトはそれまで仕えていたザルツブルク大司教と決別し、以後亡くなるまでの10年間、ウィーンに定住します。モーツァルトは新天地に移るとすぐに活発な演奏活動を繰り広げましたが、当時ウィーンの聴衆にアピールするために効果的だった演目は各種の協奏曲であり、ピアノの神童として世に出たモーツァルトとしては、当然ピアノ協奏曲に力を入れることになりました。特に1784~86年にかけては、本日演奏する第21番を含めて、12曲ものピアノ協奏曲を書いています。

モーツァルト以前の協奏曲では、独奏パートとオーケストラが比較的単純に対比され、独奏者の華麗な技を楽しむことに重点が置かれていました。しかし、ウィーン時代のピアノ協奏曲において、モーツァルトはオーケストラの規模を拡大し、管楽器を重用して多彩な響きを生み出すとともに、独奏ピアノとオーケストラとの関係をより複雑なものにして、独自の全く新しい様式を作り上げました。彼がこのジャンルで果たした役割は、「交響曲の父」と呼ばれるハイドンが交響曲で果たした役割に匹敵するものと言えるでしょう。

今日演奏する第21番は1785年の作で、直前に作曲された第20番 ニ短調と並んで、モーツァルトのピアノ協奏曲の中でも人気・充実度ともに特に高い作品です。

独奏ピアノのパートは、名人モーツァルトが自分のために書いただけあり、華麗なパッセージが散りばめられ、高度な技術が必要となります。しかもそれだけに終わらず、前述のとおりオーケストラとの関係も複雑で、主役として君臨するだけでなく、オケ全体や木管楽器のソロと対話したり、オケ内部での弦と管との対話の背景を彩ったりと、独奏者に多様な役割が要求されます。

こうした楽器間の対話は、第1楽章の冒頭をはじめとして、オペラの舞台上での登場人物のやりとりを思い起こさせます。モーツァルトの音楽におけるオペラ的な要素についてはしばしば指摘されるところですが、この作品も特にその傾向が強いように思われます。

第1楽章は第1主題を中心に緻密に組み立てられ、力強さと流麗さを合わせ持っています。ひたすら美しい第2楽章は1967年制作のスウェーデン映画「みじかくも美しく燃え」で使われ、この曲を一層有名にしました。第3楽章は軽快で飛び跳ねるような楽しい音楽です。

(T.M)

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