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過去の演奏会

H.カウエル/賛美歌とフーガ風の調べ 第16番

Henry Dixon Cowell (1897-1965)
Hymn and Fuguing Tune No.16
Ⅰ 賛美歌 Hymn
Ⅱ フーガ風の調べ Fuguing Tune

カウエルは20世紀前半の米国を代表する音楽家です。1912年、15歳の誕生日の翌日に開いた自作曲によるリサイタルでは、手のひらや腕で鍵盤を叩いたときに鳴る密集和音(彼自身がトーン・クラスターと名付けた)を用いた作品を発表し、スキャンダルを引き起こしました。その後も、ピアノの弦に直接触れて音を出す内部奏法を考案したり、作品に「偶然性」の概念を導入するなど、前衛作曲家として活躍します。また、彼はアジアの民族音楽やアイルランドやニューイングランドの伝統的な音楽も好み、中期から後期には、こうした素材を用いた親しみやすい作品も数多く残しています。

カウエルは、1944年から1965年にかけて、18曲の「賛美歌とフーガ風の調べ」という作品を書いています。これらは18世紀ニューイングランド地方の音楽に基き、独奏から管弦楽まで、さまざまな編成によるものです。「フーガ風の調べ」とは、初期の入植者がイギリスから新大陸へ持ち込み、1720年以降、非常に流行した形式であり、フーガのように各パートが次々と追いかけるように入ってきます。

今日演奏する第16番は、18曲中最大の、フル編成のオーケストラのために書かれています(ヴァイオリンとピアノのための版もありますが)。古き良き時代のアメリカ音楽をベースに、アジア風のエキゾチックなテイストも加えながら現代的に仕上げているところなど、カウエルならではと言えるでしょう。

なお、この作品は本日が日本初演となります。歴史的瞬間をお楽しみください。

(T.M)

日本初演に寄せて

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