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過去の演奏会

カリンニコフ/間奏曲 第1番 嬰へ短調

Василий Серегеевич Калинников (1866-1901)
Интермеццо № 1 fis-moll
Vasily Sergeevich Kalinnikov (1866-1901)
Intermezzo No.1 fis-moll

カリンニコフは19世紀末に活躍し、結核を病んで35歳という若さで亡くなったロシアの作曲家です。10年ほど前までは、カリンニコフを知っているのは一部のロシア音楽マニアに限られていましたが、最近では交響曲第1番のブームにより、しばしば一般の音楽ファンの話題に上るようになりました。

旧ソ連の音楽学者ボリス・アサーフィエフはカリンニコフを「ロシア音楽界におけるコリツォーフ」であると評しています。コリツォーフは19世紀初頭に活躍した農民詩人で、民謡調の詩を書き、実際に民謡となった作品もあります。アサーフィエフの喩えは、素朴で美しい旋律と直感的な構成を特徴とするカリンニコフの特徴を、見事に表していると言えるでしょう。

今日演奏する間奏曲第1番は1896年の作品で、モスクワのマールイ劇場での演劇公演の幕間音楽として演奏するために書かれました。5分程度の短い曲ですが、魅力的な旋律が次から次へと溢れるように流れ出てきます。

筆者はこの曲を聴くと、学生時代に行った中央ロシアの風景が思い浮かびます。見渡す限り一面の草原、ところどころにぽこぽこと潅木の茂み、その茂みがさわさわと風にそよぐ(主部冒頭の2ndVn.とVaによる分散和音)… ちなみに、『カリンカ』という有名なロシア民謡がありますが、カリンカとは、カリーナという小さな赤い実をつける潅木の愛称形です。カリーナの茂みのことをカリーンニクと言い、カリンニコフという姓は恐らくそれに由来しています。

(T.M)

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