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ウェーバー/歌劇「ジルヴァーナ」序曲 J87

Carl Maria von Weber (1786-1826)
Silvana J87: Ouvertüre

ウェーバーは古典派からロマン派への過渡期に活躍したドイツの作曲家です。交響曲、協奏曲や宗教曲を含むあらゆるジャンルの作品を残していますが、特に『魔弾の射手』をはじめとする歌劇において、後のワーグナーへと至るドイツ国民主義を開拓した作曲家として高く評価されています。

ウェーバーは1800年、14歳のときに初めての歌劇『森の娘』(台本C.v.シュタインベルク)に着手するものの未完に終わるのですが、1808年から1810年にかけて、その『森の娘』の台本をF.K.ヒーマーが改作したものに作曲し、3幕の歌劇『ジルヴァーナ』として完成させます。資料が入手できず、詳しい内容は分からなかったのですが、殺害命令を受けて誘拐されたものの殺されずに森に置き去りにされ、森で野生の少女として暮らすことになったジルヴァーナが、最後には父親と再会を果たす、という話のようです。この歌劇の舞台となる「森」は、ドイツ・ロマン派にとっては祖国の象徴や異界との接点として重要なモティーフですが、その「森」の形象は後に『魔弾の射手』でさらに発展することとなります。

『ジルヴァーナ』の序曲は、のどかな序奏に軽快な主題が続く、いかにもウェーバーらしい楽しい作品です。彼のほかの多くの歌劇とは異なり、部分的な引用を除いては歌劇中の主題を用いていませんが、これは序曲が前述の歌劇『森の娘』のそれを改作しているためだと考えられます。

なお、この歌劇は1812年にフランクフルトで初演されましたが、その時に主役を演じたソプラノ歌手カロリーネ・ブラントは、後にウェーバーの妻となっています。

(T.M)

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