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過去の演奏会

A.ペルト/シルアンの歌(「わが魂は主を求め…」)

Arvo Pärt (1935-)
Silouans Song (My Soul Yearns After The Lord...)

ペルト(原語の発音に近いのはピャールト)はバルト三国のひとつ、エストニア出身の現代の作曲家です。初期にはプロコフィエフやストラヴィンスキーの影響を受けていましたが、その後セリー技法などを経て、ティンティナブリ様式(鈴鳴らし様式)と呼ばれる独自の技法を生み出しました。ティンティナブリ様式は非常に切り詰められた表現手段によるもので、全音階上の音と休符だけで構成されています。響きとしては、いわゆる「現代音楽」という言葉で連想する音楽よりも、むしろ中世やルネサンスの音楽に近く感じられるかもしれません。

今日演奏する「シルアンの歌」は、そのティンティナブリ様式で書かれた、短くシンプルながらとても感動的な作品です。聖シルアン(1866‐1938)はロシア出身の修道士であり、東方正教会の聖地であるギリシャのアトス山で修行し、自ら新しい詩篇を作りました。この曲はそのうちのひとつに基づくもので、歌詞はありませんが、音楽は詩のリズムに合わせられています(音楽之友社「クラシック音楽作品名辞典」による:詩篇のテキストは残念ながら入手できず)。フレーズごとに置かれた休符の持つ何とも言いようのない存在感が強烈です。拙い演奏でうまくお伝えできるか心配ではありますが、皆様はこの休符に何を聴き取り、何を感じられるでしょうか。

なお、この曲は聖シルアンの弟子である大修道院長ソフローニィ神父とその下で修行する修道士たちに捧げられています。

(T.M)

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