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過去の演奏会

E.クルシェネク/7つのやさしい小品 Op.146

Ernst Krenek (1900-1991)
Easy pieces (7), for orchestra, Op.146
Ⅰ Ruhig, doch fließend bewegt
Ⅱ Kräftig, marschartig
Ⅲ Ruhig, zart
Ⅳ Ziemlich schnell
Ⅴ Sehr ruhig, zart
Ⅵ Leicht bewegt, zierlich
Ⅶ Kräftig, entschieden

今年没後10年を迎えるクルシェネクはウィーンに生まれ、後に米国へ移住した作曲家です。彼は十二音技法に基づく実験的な作品を書く一方で、ヒンデミットと同じく「実用音楽」を提唱しました。「実用音楽」とは、家庭や学校などアマチュアによる実際的な使用を目的とした、技術的・編成的に演奏が容易な音楽です。当時の音楽は専門家以外には演奏・理解が困難な「芸術のための芸術」が主流を占め、芸術音楽が生活から切り離されるという状況が生じていたため、一般の人々の生活に溶け込むような、つまりアマチュアが演奏して楽しめる音楽の必要性を訴えたのです。

1955年に書かれた「7つのやさしい小品」は、弦楽合奏のための典型的な「実用音楽」で、タイトルのとおり技術的には平易に書かれています。しかし、やはり不協和音を多用した(前衛ではなく、調性的ではありますが)20世紀的な音楽で、私たちも最初に練習したときには正直言ってかなり戸惑いました。しかし練習するにつれて、7曲それぞれの多彩な表情と、各パートが絡み合って生まれる美しい響きに惹き込まれています。私たちは20世紀の作品にも積極的に取り組みたいと思っており、この作品のような親しみ易い「実用音楽」を通じて20世紀の響きに触れることができたのは貴重な体験でした。多くのお客様には耳慣れない音楽かもしれませんが、その耳慣れなさに若干なりとも興味を抱いていただければ幸いです。

(T.M)

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