J.S.バッハ(大バッハ)の末息子として生まれたJ.C.バッハは、若い頃から国際的な脚光を浴びた売れっ子作曲家であり、活躍した場所によって「ミラノのバッハ」、「ロンドンのバッハ」などと呼ばれました。彼の華麗で優美な音楽は当時の流行の先端を行くもので、W.A.モーツァルトにも非常に大きな影響を与えています。
作品18のシンフォニア集はクリスティアン・バッハのロンドン時代、1772年から1777年くらいまでの間に書かれたと考えられ、彼の作品の中でも最高傑作とされています。今日演奏するニ長調のシンフォニアはこの曲集の4曲目にあたり、曲集で唯一トランペットとティンパニが用いられています。第1楽章はユニゾンの力強いリズム動機で始まり、壮麗なマンハイム風のクレッシェンドが効果的に使われています。第2楽章はどこかなつかしさを感じさせる優美な雰囲気が印象的。第3楽章は跳ね回るような活発な曲で、演奏していると目が回りそうです。
(T.M)