この交響曲は1973年、第1次イタリア旅行から帰ったばかりのモーツァルト(当時17歳!)により、ザルツブルクで作曲されました。典型的なイタリア風序曲(オペラの序曲から発した、急緩急の三楽章構成をとる管弦楽作品)のスタイルで書かれ、祝祭的な性格を持っています。ヴィオラが二部に分かれて活躍するのも特徴です。
次から次へと多彩な楽想が溢れ出てきますが、実は第1楽章冒頭の「♪どっみっそっみっど」(ホルンとチェロ・バス)と 「♪どっれっみっふぁっそっみ」(オーボエ、ホルンとヴィオラ)というごく単純なモチーフから曲全体が組み立てられていて(第2楽章の主題は後者、第3楽章の主題は前者から導き出されています)、さすがモーツァルトという感じです。
モーツァルトの自筆譜にはティンパニのパートはありませんが、当時は普通トランペットとティンパニはセットで用いられており、この作品でも実際にはトランペットとともにティンパニが使用されたと考えられるため、今日はなんとティンパニ奏者が即興で演奏します。なお、モーツァルトとハイドンでは牛皮を張ったバロック式のティンパニを使用します。シベリウスで使用するモダン・ティンパニ(皮に相当する部分はプラスチック製)との音色の違いもお楽しみください。
(T.M)