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過去の演奏会

ヴェルディ/歌劇 「椿姫」

Giuseppe Fortunino Francesco Verdi (1813-1901)
La Traviata

曲目解説

【第1幕】ヴィオレッタ邸の客間

しめやかな前奏曲に続き、曲は一転して華やかな音楽になり、幕が上がる。

大金持ちの男爵や子爵、ヴィオレッタの友人たちがパーティーに訪れている。客人たちに笑顔を振りまくヴィオレッタだが、胸の病が癒えたばかりである。そこヘガストン子爵に伴われ、アルフレードがやってくる。皆はアルフレードに酒と歌をすすめ、彼は求められるまま「Libiamo ne'lieti calici乾杯の歌」を歌う。

食事が終わり、皆は大広間にダンスに行くが、ヴィオレッタは突然めまいを起こす。一人で休んでいるところにアルフレードが心配してやってくる。彼は不健康な生活をやめるように忠告し、一年前から抱き続けた彼女への愛を告白する(Un di felice, etereaあの日を僕は忘れない)。しかしヴィオレッタはアルフレードの純粋な愛情に強く心打たれながらも、『どうか別の人をさがして』と断る。

夜が更けて、客人たちが去った広間に一人残ったヴィオレッタは、不思議な心のときめきを覚える(È stano!不思議だわ!)。アルフレードに恋心を抱いていることに気付くが、娼婦である我が身を振り返りその気持ちを打ち消そうとする。しかし、外から聴こえてくる アルフレードの歌声が彼女の心を激しく揺さぶる(Sempre libera degg'io 花から花へ)。

【第2幕】第1場 パリ郊外の田舎家

それから3ヵ月後。ヴィオレッタは、今までの気ままな生活をきっぱりやめ、アルフレードとパリ郊外で幸せな暮らしを送っている。アルフレードは幸福な日々に満足している(Lunge da lei per me non v'ha diletto!あの人なしで幸せはない)。ある日アルフレードの留守中に、彼の父親ジェルモンがやってくる。息子のアルフレードが、昔娼婦だった女性と暮らしているといううわさが、妹の縁談に差し支えがあるので、どうか別れてほしいと懇願する(Pura siccome un angelo天使のように清らかな)。ヴィオレッタは、自分は病に冒され今はもうアルフレードの愛だけが頼りであることを訴える。しかしジェルモンの父親としての願いと苦悩にいつしか心を動かされ、泣く泣く別れを承諾する。

悲しみにうちひしがれながら別れの手紙を書いたヴィオレッタは、ひそかに家を出る。一方何も知らずに帰ってきたアルフレードは別れの手紙を読み、ヴィオレッタが心変わりしたものと勘違いしうろたえる。そこへ父ジェルモンがやってくる。呆然とする息子にむかって、やさしく迎えてくれる故郷のプロヴァンスに帰ろうと諭す(Di Provenza il mar, il suol プロヴァンスの海と陸),

【第2幕】第2場 フローラ邸の客間

ヴィオレッタの親友であるフローラの邸宅で華やかなバーティーが開かれている(Avrem lieta di masschere la notte 仮装舞踏会の夜を楽しく過ごしましょう)。『ヴィオレッタがアルフレードと別れた』と、客人たちは噂している。そこへジプシーに扮した女たちが現れ歌う。次いで男たちが闘牛士に扮して歌い、場を盛り上げる。それが終わると間もなくアルフレードが現れ、仲間と賭けをはじめる。そこヘヴィオレッタがドゥフォール男爵と共に入ってくる。男爵はアルフレードに賭けを挑むが、勝利の大金を手にしたのはアルフレード。一方、彼の自暴自棄な振る舞いに動揺したヴィオレッタは人々がいなくなった部屋にアルフレードを誘い出し、トラブルが起こる前にこの場を立ち去るように懇願する(Invitanto a qui seguirmi来て下さるようにお願いしたけれど)。アルフレードは本当に心変わりしたのか問いつめるが、ジェルモンとの約束があるヴィオレッタは仕方なくドゥフォール男爵を愛しているとうそをつく。逆上したアルフレードは人々を呼び集めて大声で彼女をののしった上、賭けで得たお金をヴィオレッタに投げつける。アルフレードの振る舞いに対し、人々は激しく非難する。そこへ父ジェルモンが現れ、紳士としてあるまじき息子の行動を嘆く。そして、後悔するアルフレードに、ドゥフォール男爵は決闘を申し込む。

【第3幕】ヴイオレッタ邸の寝室

それから1ヵ月後の謝肉祭の日。病が悪化したヴィオレッタは、持ち物も売り尽くし死を待つ身となっていた。もう何度も読み返したジェルモンの手紙には、アルフレードと別れるという約束を守ってくれたことへの感謝の気持ちと、真実を知ったアルフレードがお詫びをしにやって来るだろうと書かれていた。しかし、ヴィオレッタは自分に残されている命がもうわずかしかないことを察知していた。楽しかった昔を思い出し、また、自分が"La traviata=道を踏ふ外した女"であることを神に詫びる(Addio, del passato さようなら、過ぎ去った日よ)。

そこへ突然、アンニーナが駆け込み、アルフレードの来訪を知らせる。もはや諦めていた再会に固く抱き合う二人。アルフレードは父親と自分の仕打ちを詫び、パリを離れて二人だけの幸せな暮らしを送ろうと語り合う(Parigi, o caraパリを離れて)。続いてジェルモンも駆けつけ、やつれたヴィオレッタの姿を見て後悔に苦しむ。ヴィオレッタは、自分の肖像をアルフレードに渡し、「あなたを愛するやさしい女性が現れたらその方と一緒になって…」と告げると、突然元気を取り戻したかのように立ち上がる。しかしそれが最期で、愛する人の嘆きの中に倒れ、息を引き取る。

(アミーチ デル ベルカント メンバー)

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